スポーツ栄養学

スポーツ栄養学

スポーツリハビリテーション―最新の理論と実践  守屋 秀繁 (翻訳) 基礎医学 靭帯 南出正順

 一昔前の話。”投手は肩を冷やすな。試合中に水を飲むな。”という時代でした。80年代からスポーツが科学的に研究され、水分補給の重要性が叫ばれ、今では当たり前の事になっています。スポーツ栄養学の分野でも研究が進み、パワーアップ、持久力アップ、試合前の食事の取り方など、競技力向上のための、さまざまな提案がなされ、成果をあげています。

パワーアップ

 運動時に使う筋肉はタンパク質からできています。運動刺激が加わると骨格筋のタンパク質が分解されますが、超回復という現象で筋肥大が見られます。これにあわせて効果的にたんぱく質を補給することで、筋量の増大、パワーアップが期待できます。
 タンパク質の合成に必要な20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できないものが8種類あり、これらは食事から摂らなくてはいけません。パワーアップ、筋力の増大にはトレーニングとたんぱく質の摂取の両方が必要です。

持久力アップ

 筋肉の動力源は、グルコース(ブドウ糖)から作られたATP(リン酸が3つ)からリン酸を一つ切り離してニリン酸に変わるときに出るエネルギーです。持久力向上のカギは、このATPを作る材料になるグリコーゲンが体内にたっぷりあることです。グリコーゲンの材料になるのが、ごはんやうどん、スパゲティなどの穀類を主成分とした食品に多く含まれている糖質です。
 持久力アップのための栄養摂取方法は、主食の穀類をしっかり食べることです。体内のグリコーゲン積載量(車にたとえるとガソリンタンクの容量)には限りがあり、1時間以上の強い運動ではガス欠になることが多くなります。持久力アップのポイントはいかにグリコーゲンを節約し、エネルギーを供給できるか、ということです。グリコーゲンが枯渇すると脂質(体脂肪)が分解されて、エネルギーを供給し続けます。ところが体脂肪が分解されるのは有酸素運動時であり、競技として個人の限界に挑めフルマラソンなどでは無酸素運動に近い、筋肉の使われ方をしてしまいます。
 競技力向上のために、考えられたのが最大酸素運搬能を増やす事。すなわち、高地トレーニングなどでヘモグロビン(赤血球)の量を増やすこと(車にたとえるならターボまたはスーパーチャージャーでしょうか)と、グリコーゲン積載量(ガソリンタンクの容量)をふやすこと、カーボローディングです。

カーボローディング(グリコーゲン・ローディング)

 陸上界のスーパーヒロイン福士加代子(ワコール)も失速。 (大阪国際女子マラソン1月27日・大阪長居陸上競技場)  改めて35kmの壁という言葉を思い出します。
 日本の一流陸上チームですから、高地トレーニング(少し短かったけど)カーボローディングなどのコンディショニングなどは完璧だったはずですが、脱水・栄養補給に対する認識が足りなかったかなと感じています。もちろん1番は準備期間が短かく、40km走をこなしていなかったことですけど。
 マラソン競技自体がリッター9kmで走る車が燃料を4リットルしかつめなくて、どうやって残りの7kmをどこでエコランするか見たいなところがあり、どうしても駆け引き(競技者同士に加え、自分の体とも)が必要なのかもしれません。
 カーボローディングはいつもは4リットルのガソリンしか積めない車に5リットル詰め込むテクニックです。
 福士の前半の走りはリッター8km!マラソン界の常識が覆されるのかもと見ていました。次回はカーボローディングでガソリン5リットル載せてやってくれると思います。

理想のダイエット法

 アスリートにかかわらず、健康的にやせる、理想のダイエット法は基礎代謝を増やすことに尽きます。基礎代謝とは、体温を維持するためのエネルギー、心臓を動かすためのエネルギー、消化するために腸を動かすエネルギー、脳を働かせるためのエネルギー、その他もろもろ、生きているだけで消費するエネルギー量のことです。その中で筋肉が消費するエネルギーは膨大で、筋量を増やすことで基礎代謝をあげることがダイエットにつながります。