骨端線損傷|成長期の骨折|春スキー

大腿骨遠位骨端線損傷来週は3月.一時の寒さも緩み,肩に力を入れなくても外を歩けるようになってきました.

今回の患者さんは8才の男の子.人生初めてのスキー.リフトを降りてスキーをはかせてもらい,雪面に立った瞬間滑り出し,猛スピードで転倒!一回も曲がることなく診療所で応急処置をしてそのままUターンで当院受診.

圧痛点は右上の大腿骨にある骨端線という場所に一致して認め,成長期の骨に見られる成長線の骨折が疑われました.

しかし骨端線の上の黒い影も病的骨折の疑いがあり,がんセンターに問い合わせ,成長期の正常変化だろうということで,診断は大腿遠位骨端線損傷としました.悪性には見えないもののがんセンターに紹介されたということだけで非常に心配させてしまいました.

毎日診察しているので患者さんからタイムリーにスキー情報を聞けるのですが,関東北部や東北の蔵王までももう雪は緩んでいるとのことです.雪が重くなるとケガも増えるので,くれぐれも注意してください.

スキーのハイシーズンもそろそろ終わり.

寂しい気もしますが,心には別の春風が吹いていることと思います.

謹賀新年|千葉マリン&東京マラソン直前の膝痛

脛骨疲労骨折
あけましておめでとうございます.本年も稲毛整形外科および診療日記をよろしくお願いいたします.

毎年恒例の千葉マリンマラソンが来週1月18日の日曜日に行われますが,大会に合わせて調整してきたランナーが膝痛を訴えて来院されるのもまた毎年恒例(?)となっています.

4回目の応募にして東京マラソンに初当選.スピード練習を行った直後より膝の内側が痛み,走れなくなったとのことで来院されました.千葉マリンもエントリーしており,走れるのかどうか,MRI検査を希望され,膝のMRIをとってみました.

靭帯や半月板,軟骨に特に異常所見はなく,しいて言えば膝内側半月板の下の脛骨が,ちょっと黒いかな?という程度でしたが,その部位を押してみると飛び上るほど痛がるので,骨の中がむくんでいる状態で,わかりやすく言えば疲労骨折直前と判断しました.MR画像があると医者の勘だけではなく,患者さんと画像を説明しながら根拠に基づいた説明(ドクターストップ)ができるので助かります.

千葉マリンを無理やり走れば確実に膝痛は悪化すると思います.東京マラソンまではまだ1か月あるので,千葉マリンはあきらめて,東京に合わせて調整すれば走れそうかな?サブ4頑張ってください!

 

前十字靱帯損傷|前方引き出しテスト

2014年初めの更新になります.

本年も稲毛整形外科,診療日記ともどもよろしくお願いいたします.

膝前十字靱帯損傷は,スポーツ外傷の代表で,様々な種目のトップアスリートが受傷してスポーツニュースでもたびたび取り上げられているので,聞いたことがある方も少なくないと思います.

膝前十字靱帯が断裂すると膝関節の前後方向の安定性が損なわれ,カッティング動作での不安感や膝がガクッと外れる感じが顕著となり,スポーツ動作に支障をきたします.

徒手検査で膝を90度に曲げてすねの骨を前方に持ち上げるようにする,前方引き出しテストが陽性であれば前十字靱帯損傷を疑います.患者さん本人からは見えないのですが,検査者からみるとあきらかに膝がぐらぐらして見えます.

右上図は膝関節のストレスレントゲンでその動きを見たところです.写真にカーソルを合わせると前方引き出し時の写真になりますが,すねの骨が1cm以上前にずれているのがわかります.

前十字靱帯損傷の膝痛は2,3週もすればなくなります.こんなにずれるなら,自分でもわかると思うのは間違いで.ゆるいのは力を抜いた状態で検査しているときだけ.
通常の歩行時や運動時では周りの筋肉も膝を支えているため,患者本人が前十字靱帯損傷に気づかずにスポーツに復帰して,再受傷して二次的に半月板損傷などをきたして痛みにより来院される場合が少なくありません.

前十字靱帯損傷はMRI検査で確認できるので,MRIをとれば確定診断は容易ですが,まず前十字靱帯損傷を疑い,診察しないとその機会は失われてしまいます.
膝が抜ける感じや違和感,受傷時に異音を聞いたなどのエピソードがあればまずスポーツ整形外科を受診してください.

膝離断性骨軟骨炎

膝離断性骨軟骨炎
 稲毛整形外科ホームページ”膝離断性骨軟骨炎”のページを更新しました.

 膝離断性骨軟骨炎は軟骨損傷により膝痛をきたす疾患で,若年者に多いスポーツ障害です.初期はレントゲンではわからず,見逃されることが多く,早期のMRIによる正確な診断,広がりの把握が必要です.

 と,教科書的な書き方をしましたが,レントゲンの取り方を変えるだけでわかる場合も少なくありません.

 患者さんは10才のサッカー少年.土日終日の練習で膝の痛みがひかなくなってきたため.レントゲンをとってもらったが異常なしとのことでMRIを希望され,受診.

 当院でもレントゲンを撮影させてもらい,通常の膝正面のレントゲン写真では右上図黄矢印の部分が少し黒く抜けているのを確認.さらに膝を少し曲げた角度でレントゲンを追加撮影すると下図のように軟骨の下にある軟骨下骨という部分が分離しているのがわかります.膝離断性骨軟骨炎

 後日撮影したMRI(膝離断性骨軟骨炎のページ参照)ではさらに病変部の広がりが確認できるので必須の検査ですが,経過は半年から1年を要するため,毎月MRI検査をする必要もなく,1月から2月毎のレントゲンで経過を追っています.

 治療の間,体育の授業を含め過度の運動は禁止.Jリーガーを夢見るサッカー少年(まれにJリーガーにしようと思っているご両親もいる)には酷ですが,プロ選手になるためには体のケアをすることがプロへの道!と,とくとくと説明(説得)しています.

ちなみに先日引退したデビッド・ベッカム選手の生涯収入現時点205億円! 夢見るのも悪くないかもしれません.
脱線しますけど,スポーツマン長者番付ベスト3 わかりますか?

膝鵞足炎|ランナーに多い膝内側の痛み

鵞足炎は主にランニングにより発症するスポーツ障害ですが,サッカーやバスケットでも発症します.

膝鵞足炎 縫工筋や薄筋,半腱様筋が脛骨に付着している部分がガチョウの足に似ているために鵞足(がそく)と呼ばれ,そこがランニングなどの動作で引っ張られて炎症を起こすといわれていますが,鵞足炎の本態は腱同士あるいは腱と骨がこすれて炎症(滑膜炎)起こしているものと考えられます.

右図の膝MRI側面像(左側が前)では,黄矢印で示される半腱様筋腱(黒くひも状に見える部分)が周囲の白い炎症をおこした滑液包のなかに映し出されています.

ここまで滑膜炎が拡大すると,日常動作にも支障をきたします.すねの上側,膝内側の痛みがなかなか引かない場合は, 鵞足炎のほかに,脛骨疲労骨折を疑います.