大腿骨頭すべり症|こどもの股関節痛

大腿骨頭すべり症
ちょっと太めの小学校5,6年生の男の子が太ももや股の付け根の痛みで 受診した場合は,常にこの病気を念頭に置いて診察しています.

成長期の骨といえど,どこでも骨が伸びるわけではなく,主に骨の両端から少し奥まった部分,骨幹端という成長軟骨で細胞分裂を繰り返し,全長を伸ばしていきます.レントゲンでは成長軟骨はうつらないので,この部分が骨端線と呼ばれる黒い線でみることができます.(右図黄矢印)

成長軟骨は周辺の骨に比べて脆弱なため,股関節においては重力に耐え切れず,地滑りのように,大腿骨頭が下にずれていきます.この状態を大腿骨頭すべり症と呼び,完治は難しく,早期発見,できれば発症前の予防が重要です.

この子の場合も,大腿骨頭すべり症を念頭に置きながら運動制限で経過を見ていましたが,骨頭がすべり始めたので,手術治療となってしまいました.すべっていくのかいかないのかは,安静度に加え,成長ホルモンの関与もあり,難しいのですが,太ももや股の付け根の痛みが続くようであれば,整形外科で定期的にレントゲン検査で経過観察する必要があります.

追記:隕石が原発に落ちる確率よりは,確実に高いので,こどもの股関節痛については整形外科医の指示に従っていただきたいと思います.