肩関節関節唇損傷や腱板損傷

 新学期を迎え,この1週間,非常に気になっていることがあります.

 中学生になって,硬式野球クラブチームに転向した野球少年が野球肩や腰痛で受診することの多いこと,多いこと.WBCの2連覇という,歴史的快挙に触発されたのか,実際にどのくらいの新中学生が,硬式野球に転向したのかわかりませんが,今年はとみに多く見られます.

 中学校の3年間は成長期で,本当に身長が伸びます.中学生になって,成長ホルモンの分泌も活発になり,骨も伸びる準備をはじめて,骨の成長軟骨がやわらかくなっています,冬が終わり,春の到来とともに,雪解け水で地面が柔らかくなり,植物が芽を出そうとしているのと同じ状態です.

 そのような時期に,今まで慣れ親しんだ軟式ボールから,重くて硬い,硬式ボールや,硬式のバットに変えてしまうとどうなるか?一部の生徒は適応できますが,筋力もない,骨も柔らかい,新入生は壊れてしまうことでしょう.肩関節の関節唇損傷や腱板損傷を起こす前に,骨が悲鳴をあげて,上腕骨の疲労骨折や,骨端線離開(骨折の一種)を起こしてしまいます.

 早くから,硬式野球に変更させるメリットも否定はできませんが,高校生になってから硬式野球に転向しても,半年で追いつけるという意見も見られます.学校のクラブ活動には所属せず,クラブチームで硬式野球をさせるのが,はたして良いのか難しい所です.子供の成長を楽しみながら,でも,無理をさせずに,暖かく見守ってあげる事も大切かと思います.