腰椎分離症の診断と治療|腰椎分離症の分離部の動きをレントゲンで見てみた

腰椎分離症は,成長期の過度な運動により起こす疲労骨折の一つと考えられています.腰で疲労骨折を起こす場所は腰椎の後方部分(右図黄矢印),椎間板の反対側で椎弓という部分.腰を反らすと骨折して炎症を起こしている部分が圧迫されて痛みを生じます.

ある程度腰椎分離がはっきりしてくると通常のレントゲンでも見つかることがあります.右図の分離症の写真にカーソルを合わせると後屈時の写真になりますが,後屈時は分離部の隙間が狭くなることがわかります.

通常分離していなければ動くことのない椎弓部分ですが,分離症では後屈させると,分離部(黄色の矢印の部分)がガバガバに動いています.この状態になると完全に治すこと(疲労骨折した椎弓部分が骨癒合して動かなくなること)は難しくなります.

腰椎分離症の治療は成長期であれば,骨癒合が期待できるので,硬いコルセットで腰を固定するのですが,数カ月にわたる運動禁止が必要となります.また運動禁止して固定していれば必ず治るというわけではありませんから,初期治療が大事になってきます.

腰椎分離症がレントゲンではっきりわかる時期はかなり進行した状態といえます.分離症の初期ではレントゲンやCT,MRIでもはっきりしませんが,理学所見である程度判断できますので,はやめにスポーツ整形外科を受診してください.

米軍入隊試験の体力テストから腹筋が除外された理由|稲毛整形外科

2022年春から導入された米軍入隊試験の新しい体力テストから腹筋が除外されたというニュースは、多くの人に驚きをもたらしたかもしれません。しかし、この変更には理由があります。腹筋運動は、背中の痛みやけがにつながる可能性が高く、現代の戦闘に必要なスキルとはあまり関係がありません。その代わりに、米軍はプランクやレッグタック懸垂などの体幹の強化を重視する運動を採用しました。これらの運動は、姿勢を安定させたり、重い荷物を運んだり、負傷者を救助したりする能力を高めると考えられています。また、米軍はデッドリフトやメディシンボール投げなどの筋力やパワーを試す種目も導入しました。これらの種目は、全身の筋肉を使うことで、より効率的にエネルギーを消費し、疲労を防ぐことができます。さらに、スプリントドリルなどの敏捷性やスピードを測る種目も加わりました。これらの種目は、素早く反応したり、方向転換したりする能力を向上させることができます。米軍入隊試験の体力テストから腹筋が除外されたことは、時代に合わせた適切な判断だったと言えるでしょう。

参考:米軍入隊試験の体力テストについて

米軍入隊試験には、体力テストが含まれています。旧体力テストは、以下の4つの項目でした。

  • 腕立て伏せ:2分間にできる回数を計測します。男性は最低42回、女性は最低19回以上でなければなりません。→老若男女同一基準に
  • クランチ:2分間にできる回数を計測します。男女ともに最低53回以上でなければなりません。(廃止)→クランチの代わりにプランクやレッグタック懸垂などの運動を採用し、体幹の強さを測定するようにした。
  • 2マイルラン:2マイル(約3.2キロメートル)を走ります。男性は最高16分36秒、女性は最高19分42秒以内に完走しなければなりません。
  • プルアップまたはフレックスドアームハング:プルアップは、懸垂棒にぶら下がって自分の顎を棒の上に持ち上げる運動です。フレックドアームハングは、懸垂棒にぶら下がって自分の顎を棒の上に固定する運動です。男性はプルアップを3回以上、女性はフレックドアームハングを15秒以上維持しなければなりません。→新しい体力テストは、年齢や性別に関係なく同じ基準で評価される。

米軍入隊試験の新しい体力テストは、2022年春から導入され、クランチの代わりにプランクやレッグタック懸垂などの運動を採用し、体幹の強さを測定するようにした。また、腕立て伏せやデッドリフト、メディシンボール投げやスプリントドリルなどの種目も追加し、筋力や敏捷性や調整力やスピードを評価するようにした。新しい体力テストは、年齢や性別に関係なく同じ基準で評価される。新たなテストには、以下のような種目が含まれる。

  • ヘックスバー・デッドリフト:ヘックスバーと呼ばれる六角形のバーベルを使って、床から持ち上げる運動。最大重量を3回持ち上げることができるかを測る。
  • ハンドリリース・プッシュアップ:腕立て伏せの動作の途中で、両手を床から離してサイドに広げる運動。2分間で何回できるかを測る。
  • レッグタック懸垂またはプランク:懸垂棒にぶら下がりながら、膝を胸に引き上げる運動または体幹を使って一定の姿勢を保つ運動。どちらかを選んで行う。
  • メディシンボール・スロー:10ポンド(約4.5kg)のメディシンボールを頭上から後ろに向かって投げる運動。投げた距離を測る。
  • スプリント・ドラッグ・キャリー:50メートルのコースで、全力疾走、スレッドプッシュ、ウェイトキャリー、ラテラルシャッフル、全力疾走の5種目を行う運動。所要時間を測る。
  • 2マイル(約3.2km)走:2マイルの距離を走る運動。所要時間を測る。

新しい体力テストでは、年齢や性別に関係なく、誰もが同じ基準で評価される。このテストは、現代の戦闘に必要な身体能力を測ることができると期待されている。

腰椎分離症|稲毛整形外科

腰椎分離症とは、腰椎の一部が分離してしまう病気です。腰椎は背骨の一部で、背中の下部にあります。腰椎分離症は、先天的な要因や外傷、過度な運動などが原因で起こります。腰椎分離症の症状は、腰痛や下肢のしびれなどです。腰椎分離症の診断は、レントゲンやMRIなどの画像検査で行います。腰椎分離症の治療は、保存的治療と手術治療があります。保存的治療は、安静や湿布、鎮痛剤などで痛みを和らげる方法です。手術治療は、分離した腰椎を固定する方法です。手術治療は、保存的治療が効かない場合や重度の分離がある場合に行います。

稲毛整形外科では、腰椎分離症のセカンドオピニオンも相談させていただけます。専門医が丁寧に診察し、適切な治療法を提案します。腰椎分離症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

帯状疱疹による坐骨神経痛について|稲毛整形外科

坐骨神経痛と帯状疱疹について

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて走る坐骨神経が圧迫や炎症などによって刺激されることで起こる痛みのことです。坐骨神経痛の症状は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足の裏にかけて鋭い痛みやしびれ、筋力低下などがあります。坐骨神経痛の原因はさまざまですが、最も多いのは椎間板ヘルニアです。腰の椎間板が飛び出して坐骨神経を圧迫することにより起こることが多い坐骨神経痛ですが、坐骨神経に帯状疱疹のウイルスが住み着いてヘルニアによる坐骨神経痛と同じ症状を起こすことが時としてあります。

帯状疱疹による坐骨神経痛は水ぶくれが痛みの部位に一致して出ることですぐにわかるのですが、皮膚症状が出るまでに1週間近くかかることが多く、当院でも年に数名、皮疹が出る前に受診され、椎間板ヘルニアと間違えることが時としてあります。

帯状疱疹とは、水ぼうそうにかかったことがある人に起こる感染症の一種です。水ぼうそうにかかった後も、水ぼうそうウイルスは神経節に潜伏しています。免疫力が低下したり、ストレスや加齢などの要因でウイルスが再活性化すると、帯状疱疹が発生します。帯状疱疹の特徴は、ウイルスが住み着いた神経の支配領域に沿って赤い発疹や水ぶくれができることです。これらの発疹や水ぶくれは非常にかゆみや痛みを伴います。

帯状疱疹による坐骨神経痛について

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる皮膚の感染症です。このウイルスは、水ぼうそうにかかった後も神経に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して帯状疱疹を発症します。帯状疱疹は、主に胸から背中にかけての片側の皮膚に赤い発疹や水ぶくれができ、強い痛みを伴います。通常は数週間で治癒しますが、一部の人では、発疹が治っても神経の痛みが残ることがあります。これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。

帯状疱疹後神経痛は、神経障害性の慢性的な痛みであり、通常の鎮痛薬では効果が不十分な場合が多いです。帯状疱疹後神経痛の特徴は、以下のようなものです。

  • 焼けるような、刺すような、ひきつるような、しびれるようななど、さまざまな種類の不快感や痛みがある。
  • 痛みは、帯状疱疹が出た部分に限られることが多いが、場合によっては広がることもある。
  • 痛みは、触れられたり、温度や風などの刺激に反応して増悪することがある。
  • 痛みは、日中や夜間に強くなったり弱くなったりすることがある。
  • 痛みは、数か月から数年にわたって持続することがある。

帯状疱疹後神経痛の治療には、主に薬物治療と非薬物治療があります。

薬物治療では、抗ウイルス薬や抗うつ薬、抗てんかん薬などが用いられます。これらの薬は、神経の興奮を抑えて、痛みを和らげる効果があります。しかし、副作用や効果の個人差もあるため、医師の指示に従って適切に服用する必要があります。非薬物治療では、温冷刺激や電気刺激、マッサージや鍼灸などが行われます。これらの方法は、血行を改善したり、神経の伝達を変化させたりして、自然治癒力を高める効果があります。また、リラクゼーションやストレス管理などの心理的なサポートも重要です。

帯状疱疹後神経痛は、予防することが難しい場合もありますが、早期に帯状疱疹の診断と治療を受けることで、発生率や重症度を低下させることができます。また、高齢者や免疫力の低下した方は、帯状疱疹の予防接種を受けることで予防することも可能です。帯状疱疹後神経痛に悩んでいる方は早急に医師に相 談しましょう。

腰椎椎間板ヘルニアの自然経過|稲毛整形外科

腰椎椎間板ヘルニアの自然経過について

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰の部分の背骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が、加齢や負担などの原因で変性し、一部が飛び出して神経を圧迫する病気です。この病気は、腰痛や下肢の痛みやしびれなどの神経症状を引き起こしますが、多くの場合は自然に治癒する可能性があります。

腰椎椎間板ヘルニアになると学業や仕事にも影響を与え、痛みがひどいときは休まなくてはならなくなり、この先どうなるのか心配なかたも多いと思うので、腰椎椎間板ヘルニアの経過について記載してみます。もちろん、個人差がありますが、一般的には以下のような段階に分けられます。

– 急性期:発症から数日から数週間の期間で、症状が最も強く出ます。この期間は、安静にすることや消炎鎮痛剤などの薬物治療が必要です。また、冷却パッドや湿布などで局所的に冷やすことも効果的です。
– 亜急性期:急性期が落ち着いてから数週間から数ヶ月の期間で、症状が徐々に改善していきます。この期間は、適度な運動やリハビリテーションが必要です。また、温めることやマッサージなどで血行を促進することも効果的です。
– 慢性期:亜急性期が終わってから数ヶ月から数年の期間で、症状が安定していきます。この期間は、日常生活に支障がない程度に運動やリハビリテーションを継続することが必要です。また、姿勢や体重管理などで再発を防ぐことも重要です。

腰椎椎間板ヘルニアの自然経過には2通りあり、痛いほうの穿破型のほうが早く回復します。

腰椎椎間板ヘルニアの自然経過は、以下のように分類されます。

  • 髄核が椎間板と神経の間にある後縦じん帯を突き破っている場合(穿破型)
  • 髄核が後縦じん帯を突き破っていない場合(非穿破型)

穿破型の場合は、免疫細胞が反応して飛び出した髄核を吸収するため、ヘルニアが自然に消えることが多くあります。この場合は、発症から6か月前後で自然治癒するとされています。非穿破型の場合は、免疫細胞が反応しにくいため、ヘルニアが自然に消失しにくいと考えられています。この場合は、発症から1年以上かかることもあります。

腰椎椎間板ヘルニアが自然治癒へ向かっているかどうかは、以下のような方法で判断できます。

  • 神経ブロック注射やMRI検査などでヘルニアの大きさや位置を確認する
  • 痛みやしびれなどの神経症状の改善度を評価する
  • 足の感覚や筋力などの神経機能の回復度をチェックする

腰椎椎間板ヘルニアの経過は、個人差がありますが、約80%以上の人は保存的治療で改善すると言われています。しかし、保存的治療に反応しない場合や神経障害が進行する場合は、手術治療が必要になる場合もあります。そのため、定期的に医師に診てもらい、適切な治療法を選択することが大切です。